■ご挨拶
ご無沙汰しております。
皆様へのご挨拶も随分と久方ぶりですが、
その間令和への改元という大きな出来事がございました。
この「令和」とは、大伴旅人が詠んだ万葉集の一節
「初春令月、気淑風和」
を典拠としているそうです。
厳しい寒さの後に咲き誇り、春の訪れを告げる梅の花のように、
日本人一人ひとりが明日への希望とともに、
それぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたい
という想いが込められており、
誰もが良い世の中になって欲しいと期待したことでしょう。
ですが、そんな期待を嘲笑うかのように
新型コロナウィルスの蔓延が始まりました。
未知のウィルス感染により世界中で多くの死者が出たことは
大変痛ましく、現在もまだ皆様は不安な毎日を過ごされている
ことと思います。
しかし、コロナ禍が長引くにつれ、気を付けなければならないのは
ウィルス感染だけではないことが分かってきました。
その一つとして犯罪や自殺、虐待などの間接被害が増加傾向
にあるそうです。
感染対策として人と人が交流を絶った結果、孤独や不安に苛まれ、
心の余裕をなくしてしまう人が増えたことがその一因ではないか
と私は考えます。
巷ではできるかぎり人と人の交流を避けるべく、
葬儀ですらリモートで行うオンライン葬儀などという言葉も
聞かれるようになりました。
それ自体を否定するつもりはございませんが、
仏教の多くの教えでは、人は亡くなると現世を離れて
次の生を受けるまで旅をすると言われており、
ご遺族はその旅支度を整えます。
これから長い旅路へと向かう故人に対し、
面と向かって最後のお別れすらできない
というのは個人的には物寂しく感じます。
人は一人では生きられません。
ウィルスへの感染対策は、もちろん怠ってはいけませんが、
同時に間接被害への対策もしていかなければならないのでは
ないでしょうか。
聞く話によると、人と人が直接触れ合ったときは勿論、
食事や会話を楽しんだり、人に親切な行為をするなど
人と人が交流すると、脳からオキシトシンというホルモンが
分泌されるそうです。
オキシトシンは、セロトニン、ドーパミンと並んで、
三大幸せホルモンと呼ばれるもので、ストレスを緩和して
不安や恐怖心を軽減し、幸せな気持ちにしたり、
自律神経のバランスを整え免疫力を上げる効果があります。
人同士の交流によって、心の余裕が生まれることには
科学的根拠があるのです。
人同士の交流は一見すると感染対策と真逆のことに思えますが、
感染対策をしながらでも並行させることは可能だと私は思います。
孤独や不安で心の余裕をなくしてしまわないために、
微力ながら私も皆様のお力になりたいと考えております。
ちょっとしたお困りごとやご相談でも遠慮なく、
ぜひ当寺にお立ち寄りください。
感染対策をしっかりして、お待ちしております。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
令和四年 一月吉日 感謝合掌